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家計の物価に対する見方に変化~解消しつつあるデフレ心理
2011年05月26日
(桑畠 滋)
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消費者物価上昇率は、エネルギー、食料価格が上昇に転じたことなどを主因として下落幅の縮小が続いている。5月27日に総務省から公表される2011年4月分の消費者物価指数は、高校授業料無償化の影響が剥落することから明確なプラスとなることが確実となっている。
消費者のデフレ心理は根強いと言われてきたが、消費者物価の下落幅が縮小傾向で推移していることを受けて、家計の物価に対する見方も変わってきている。「1年後の物価が上昇する」と考える家計の割合は2008年夏頃にかけて90%程度まで上昇した後、リーマン・ショック後には30%程度に低下したものの、足もと再び上昇しており、家計の物価に対する捉え方が2006年中頃から2008年夏頃のようなインフレ基調に戻りつつあるものと考えられる。
新興国需要の拡大を背景とした原油価格高止まりを受けて、ガソリン、灯油価格が引き続き高水準で推移することが予想されることに加え、穀物価格高騰の影響が最終商品の価格に徐々に転嫁されていくことから、今後も物価が上昇すると考える家計の割合は上昇を続ける公算が大きい。
東日本大震災の影響を受けて、雇用・所得環境の厳しい状況が続くことが予想される中で家計の物価上昇予想が強まることは、生活防衛意識を強め、旅行、外食などの選択的支出を抑制するなど消費の下押し圧力として働く恐れがあり、消費への悪影響が懸念される。
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