新興国の成長性とその持続力について

2010年03月03日

(三尾 幸吉郎)

■要旨

1.近年の新興国の経済発展は目覚しく、国際協調の場はG8からG20へと移行、世界で活躍する日本企業の主戦場も欧米市場から新興国市場へとその重点を移しつつある。そこで本稿ではG20新規参加の12カ国に焦点を当て、各国の成長性とその持続力の実態把握を試みている。
2.まず、G20新規参加12カ国の成長性を比較する視点として人口動態を取り上げている。経済成長率は人口増加率と一人当たりGDP増加率の和として表され、人口の増減は前者に直結し、生産年齢人口の増減、都市化の進展(農村から都市への人口移動)等は生産性向上を通じて後者に直結しており、経済成長を促す要因となる。
3.次に、G20新規参加12カ国の成長性を比較する視点としてインフラ整備を取り上げている。インフラはダム・道路・港湾・発電所・通信施設・学校・病院・下水道・公園・公営住宅など生産や生活の基盤を形成するものであり、経済成長の下部構造として技術革新やサービス化進展を通じて経済成長を促す要因となる。
4.また、経済発展の途上にある新興国の中には、高い成長性があるのにそれが実現せず経済が停滞を続けている国もある。そこで経済成長が持続するか否かを見極めるため、「ショック耐久力」と「政策対応力」の2つの視点から分析・評価している。
5.最後に、G20新規参加12カ国の成長性とその持続力をビジュアルに把握するため「成長持続力マップ」を作成すると共に、一連の分析・評価に関する考察を加えている。

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