細分化せず全体で見る工夫を

2010年03月01日

人々のある事象に対する行動は、それを全体として評価するか、細分化して評価するかで、異なることが多々ある。例えば、健康回復のために、生活全体としてある程度の我慢を受け入れられても、食事やお酒の量を控えたり、運動を増やしたりするなど、個々の苦痛には耐え難く、結局、健康回復に失敗することは良くある。
年金運用でも同じである。本来であれば、ポートフォリオ全体で評価して、リスクを取る量を決めるべきであるが、アクティブとパッシブ、国内株式と外国株式、バリューとグロース、個別株式毎など、運用評価の対象を細分化することにより、全体の投資行動がおかしなものになってしまう可能性がある。
これは、投資家は基本的に損失が嫌いなためである。一説によれば、損失を被った際の脳の働きは、街で犬の糞を踏んだ時のものと似ているという。評価を行う対象を細分化するほど、それぞれで損失回避を考え、結局、ポートフォリオ全体でうまくいかなくなる。このような傾向は、投資経験を積んだ専門家でも生じることが確認されているため、評価対象をできるだけ細分化しないようにする運用体勢の構築以外には対策はなさそうである。

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