中国経済の見通し~2010年は9.7%、2011年は8.2%

2010年02月26日

(三尾 幸吉郎)

  • 2009年第1四半期(1-3月期)に前年同期比6.2%で底打ちした中国経済は、その後も順調な回復軌道を辿り、2009年第4四半期は10.7%と1年半ぶりに10%の大台を超える経済成長を遂げた。
  • 中国政府の財政金融政策の支援を受け、民間の企業活力も回復しており、この経済成長の勢いは当面続くと見られるが、過剰生産設備、インフレ、資産バブルという3つの副作用は注意を要するレベルに達しており、今後の中国経済を制約する要因になると見られる。
  • 今後の経済政策の重点は、ようやく復活した民間の企業活力は生かしつつも、副作用の抑制を強化するというマクロコントロールに移る。このプロセスは持続的な経済成長には欠かせないが、適時適切な政策対応は極めて難しい。
  • 中国政府は、既に「過度」な金融緩和を正常化する方向で「出口戦略」を進めており、一歩先読みしたプロアクティブな政策対応を継続できれば、副作用の抑制と民間活力の維持の両立に成功する可能性は充分にあると見ている。
  • 2010年、2011年の中国経済の見通しは、2010年第2四半期(4-6月期)迄は10%超の成長が続くが、その後は産業高度化を狙った構造調整の本格化と金融政策の引締めの影響から成長ペースが一旦減速する。その後2011年に入ると、淘汰すべき生産設備の調整にも目処が立ち、インフレ沈静化から消費マインドも改善して、消費拡大に伴って民間投資が勢いを取り戻し、中国経済は内需主導の新たな経済成長軌道を歩み始めると見ている。
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