中国経済の見通し~メインは8%台の持続的成長、リスクは景気過熱

2009年11月27日

(三尾 幸吉郎)

1. 2009年の見通しは8.3%へ上方修正

  • 輸出急減速に伴う企業収益低迷や雇用不安から減速と見ていた消費は予想以上に好調。景気刺激策の一部が年末に期限を迎える自動車販売も年末に向けては駆け込み需要が期待できることから上方修正。また、4兆元の景気刺激策の効果から7%のプラス寄与と強気で見ていた固定資産投資も予想を超える加速が続いたことから上方修正。

2. 2010年は8.6%、2011年は8.2%成長と持続的な経済成長へ

  • 最終消費は、消費刺激策の一部が順次期限切れとなるが、潜在する消費需要のレベルは高く、追加の消費刺激策も期待できるため、やや加速し4%ポイント前半のプラス寄与。
  • 総資本形成は、4兆元の景気刺激策が2010年末まで続くことから堅調を維持するが、政府主導による投資の増加ペースは前年比で見ると鈍化。また、これまでの公需を目当てにした投資の加速で一部の産業には過剰生産設備の懸念が生じており調整が必要。国内消費需要を目当てにした投資のペースも緩やかなため民間主導の投資へのバトンタッチはゆっくり進展すると見込み、若干減速の4%ポイントのプラス寄与を見込む。
  • 2009年に大幅マイナス寄与の純輸出は、2010年には反動増も見込まれるが、欧米の景気回復テンポは緩慢で内外成長格差は依然大きく、寄与度は小幅に留まる。
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