底値は近い?東京都心部Aクラスビルのオフィス賃料

2009年08月11日

(竹内 一雅)

■見出し

1. 東京都心部Aクラスビルにおける賃料調整の進展
2. 規模別・エリア別賃料格差の大幅な縮小
3. 都心部Aクラスビルの賃料の底値は近いか?

■要旨

1. ニッセイ基礎研究所は、本年2月に東京都心部大規模オフィス賃料の将来予測を公表し、2011年を底に賃料は上昇に転ずると予測した。その時点では、まだ、オフィス賃料の下落はさほど大きくなく、上昇とほぼ同等のペースで賃料は下落すると予測した。しかし、東京都心部のオフィス市況は非常に厳しく、賃料調整はわれわれの予想を大きく上回る速さで進展してきた。
2. その結果、東京都心部のAクラスビルのオフィス賃料は、すでに、われわれが上記レポートで底値と予測した2011年の水準に非常に接近してきている。また、同時に、都心部Aクラスビルと、より小規模のビルや、周辺ビルとの賃料格差の縮小も急速に進んでいる。
3. 東京都心部のAクラスビルは、立地、規模、グレード、設備、セキュリティなど多くの面で大きな優位性を持っている。仮に、現在の賃料水準が底値に近く、他ビル・他エリアとの賃料格差が縮小しているのであれば、借り手であるテナントにとって非常に魅力的な状況にあるといえる。
4. われわれは、都心部のAクラスビルの賃料が、底値に近い水準にあるとみている。ただし、オフィス需要の全般的な回復には時間がかかるとみられることから、東京都心部大規模ビルの賃料は2011年を底に上昇に転ずるという見通しに変更はない。

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