日に日に不況の深刻度は高まり、工場閉鎖、減産、人員カットと、企業の存亡をかけた取組みが新聞紙面を埋め尽くしている。
企業融資の経験を有する自分には、自分が過去出会ってきた零細~中小~大企業の経営者たちの悪戦苦闘する姿が目にうかぶ。多くの企業にとっていまの状況は、利益を得るというよりは、何とか、企業を生きながらえさせるという切羽詰った段階だろうか。
今回の経済危機は、米国オバマ新大統領の言う通り、「一部の強欲で無責任な人たちがもたらしたもの」
(a consequence of greed and irresponsibility on the part of some")であり、真面目に経営に取り組んできた人たちが、思わぬとばっちりを受けているという構図かもしれない。
それでも、また、企業存亡の危機であっても、消費者に対する経営者の志は、揺るぎないものであって欲しい。経営者は、勇気と公正な精神で、限界まで創意工夫を凝らし、消費者に対する忠誠心を貫いて欲しい。
経済危機以前から、食品偽装問題等、消費者の信頼を裏切る事件が発生していたことは記憶に新しい。偽装に至らずとも、使用している原材料を「明示しない」という裏切りもある。
生鮮野菜の輸入量が、輸入餃子問題に端を発する個人消費の落ち込みなどから減少している一方で、冷凍野菜の輸入量はそれほど下がっていない。一部の外食産業は、不景気の中、コスト削減の見地から、輸入冷凍野菜を活用しているのであろう。輸入野菜を使うこと自体は悪いことではなく、国産というだけで安心する個人の消費レベルに問題があることも事実だ。
しかし、商品に関わる消費者目線の情報を「明示」しようとせず、質や安全性よりも、価格や利益優先で経営を行っている企業が存在することもまた真実である。
先日、石川県にある某製茶場の「加賀棒茶」というほうじ茶を購入してみた。私のような会社利用の人間には最適な1煎ごとのテトラパックタイプ(袋の中で茶葉がほどよくジャンピングできる空間も保たれている)で、しかも香りが逃げないように密閉袋に入っている。
そのアイデアと味に感心しながら、ふと、密閉袋の裏面にある会社の基本理念の記述に目が留まった。以下、原文そのままである。