金融危機の衝撃で中国保険株急落

2009年01月26日

(沙 銀華)

米国発のサブプライム問題は、世界規模の金融危機に発展し、中国の株式市場もその影響を受けている。上海株式市場は07年10月16日以降、当時の6,092.06ポイントより急速に下落し、08年12月2日現在1,889.64ポイントまで下がり、その間の下落率は約69%になる。
こうした中で、上海株式市場に上場している保険大手3社、中国平安、中国人寿、中国太保の株式も揃って大幅に値を下げており、その中で下げ幅が最も大きい会社は中国平安である。
(1)中国平安保険(グループ)株式会社
中国平安は、1988年3月に設立された保険会社であり、優れた業績が投資者に支持され、07年10月に最高値の144.99元を記録したが、今期は金融危機を受けて損失が発生し、赤字に転落した。このため、08年12月2日の終値で22.55元まで急落した。その間の下落率は84.5%であった。
(2)中国人寿保険株式会社
中国人寿は2003年6月に中国人寿保険持株会社より設立された子会社で、国有大手生保会社であり、抜群の財務基盤と数十万人の保険販売員を有し、株式市場では優等生とされてきた。07年10月に75.08元の最高値を更新したが、その後、株式市場の下落により、営業利益と資産運用利益が急減したことから、同社の株価が急落した。同社の08年12月2日の終値は18.15元であり、その間の下落率は75.9%であった。
(3)中国太平洋保険(グループ)株式会社
中国太平洋は、1991年5月に設立され、上海に拠点を置き、ユニバーサル保険の販売に成功し、07年12月に最高値の50.31元を記録したが、株式市場の下落により、今期の投資収益は、マイナス15億元になった。このため、同社の株価も急落し、08年12月2日の終値は、11.06元であり、その間の下落率は78.1%であった。
保険大手3社の株価は同時に大幅に値を下げたが、それは国外からの金融危機と国内の株価の下落が重なった結果である。金融市場の混乱が続く中、今後、3社の経営実績にどこまで影響が出るかが注目される。

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