医療特区再考について

2008年12月26日

(丸尾 美奈子)

■目次

1--------はじめに
2--------却下された外国人医師招聘の要望
3--------わが国の医師免許制度
4--------諸外国における試み
5--------多様化社会における柔軟な対応を

■introduction

医師不足や医師偏在に端を発する報道が相次いでいる。こうした中、厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化検討会は、医学部の定員を現状の5割増とするほか、外科等における個々の医師の技術料や、勤務状況の厳しい産科や救急・へき地医療に従事する医師への手当など、事態の解決に向けた施策案を取りまとめた。2009年1月には、「産科医療補償制度」も始まるほか、医師の労働時間是正に向けた検討も徐々に進められており、医師不足や医師偏在解決に向けた動きは活発化している。
但し、今から医師数を増やそうとしても、医学部を卒業して、ある程度経験を積んだ医師が増えるまでには、この先10年以上の時間を要する。加えて、医師も生活者の一人であり、都会出身の医学部生が多くなっている中で、診療報酬・手当ての多少の引上げや、訴訟対応や労働時間調整等の整備だけで、果たして過疎化が進む地方や、訴訟リスクが高い産科や外科の医師拡充問題が解決するのだろうか。
本稿では、医師偏在解決に向けた今できる一処方箋として、医療特区等を通じたフレキシブルな対応を考えてみたい。

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