「Champions for arts and culture」というタイトルは、いささか短絡的に思えるが、「芸術支援のプラットフォームの構築」が基本政策として掲げられ、次の6つの戦略が示されている。(1)芸術教育への再投資(学校と芸術機関との官民パートナーシップの拡充、芸術教育を担うアーティスト組合の創設、芸術教育の重要性の啓発普及)、(2)全米芸術基金の助成額の増大(92年の1億7,500万ドルから1億2,500万ドルにまで落ち込んだ助成額の増大)、(3)文化外交の拡充(現在最低レベルに落ち込んでいる文化外交をてこ入れし、イスラム過激主義に対抗するためにも、世界中で米国の文化や芸術の国際交流を拡充)、(4)海外の芸術家の誘致(9.11以降のビザの規制強化を見直し、米国を敬遠していたアーティストや学生を呼び戻すため、ビザの手続きを合理化)、(5)芸術家への保険医療の提供(個人で活動するアーティストにとって大きな課題となっていた健康保険の問題を解決するため、すべての国民と同様手頃な健康保険を用意)、(6)アーティストに対する税制の公平性の確保(アーティストが美術館等に作品を寄贈した場合、作品の材料価格ではなく、作品としての市場価格に基づいた所得控除を実施)。