米6月FOMC:昨年9月からの利下げを停止

2008年06月26日

(土肥原 晋)

■見出し

・インフレ警戒の高まりで、利下げ政策は停止へ:利下げ停止の概要と経緯
・FOMC声明文のポイント~反対1委員は利上げを主張:声明文の内容
・金融政策を左右するのは、物価動向と米政府の市場監視策:今回利下げ停止の注目点

■introduction

6/24・25日開催のFOMC(米連銀:連邦公開市場委員会)は、FF目標金利を2.0%で据え置くことを決定した。FF目標金利の利下げは昨年9月に開始され、今年に入ってからは1月(2回)、3月の大幅利下げを経て、4月は0.25%の小幅利下げが実施されていた。昨年9月以降の累計では計7回、3.25%幅の引き下げが行われていたが、今回で一連の利下げが停止されたこととなる。
米国経済は一時リセッション入りの懸念が強まっていたが、6月に入るとバーナンキ議長が「米景気が大きく失速するリスクは小さくなった」とし、「金融政策は緩やかな成長と物価の安定を推進するのに適切なポジションにあるようだ」と現状の金融政策を肯定、利下げの停止を示唆していた。これは、前回利下げ時のFOMCの議事録(5/21公表)で、「インフレリスクが増幅する中、景気の下ぶれリスクのみを強調することは最早適切とは言えない」として、利下げの停止を示唆したことを追認した形ともなっていた。
なお、FOMCの資料となる6/11発表のベージュブックでは、景気は弱いままであるとする一方、「エネルギーと食料の値上がりが所得を侵食して消費は減速し、製造業ではエネルギーを中心に投入コストが上昇している」とインフレ圧力の広がりを指摘していた。その後、ガソリン価格が過去最高値を更新、5月の物価指標では特にコアPPIが高水準にあること等から、市場では金利据え置き予想が大勢だった。今後はややインフレに軸足を移した金融政策の舵取りが予想される。

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