米4月ISM指数は、非製造業指数が52.0に回復

2008年05月07日

(土肥原 晋)

■見出し

・製造業指数の低迷の半面、非製造業指数が好転、50を上回る
・製造業各指数は全般的に停滞が続く中、価格指数が突出、輸出も堅調推移:各指数の内訳
・非製造業の指数別では、入荷遅延・雇用指数の上昇が大

■introduction

企業のセンチメントを示すISM(米供給管理協会)指数は、4月製造業指数(PMI)が48.6と3月と同値となり、市場予想(48.0)を若干上回った。しかし、製造業の拡大・縮小の分かれ目とされる50は、3ヵ月連続で下回った。
一方、4月の非製造業指数(NMI、注:1月から総合指数として新設)は52.0と3月(49.6)から上昇、市場予想(49.1)も上回り50台に乗せた。また、これまで非製造業の景況感を示す指数として注目されていた事業活動指数は50.9と3月52.2から低下したが、3ヵ月連続で50を上回った。事業活動指数は、1月に41.9とテロ事件直後の2001年10月(40.5)以来7年3ヵ月ぶりの低水準となったが、2月以降は50台の水準を回復し、事業活動について「低下した」との回答比率は、1月の42%から4月は18%へと急減少している。
このように、1月より総合指数として新設されたNMIは、1月以降3ヵ月連続で非製造業の拡大・縮小の分かれ目とされる50を下回っていたが、今回初めて50台に乗せたため、非製造業の業況感が好転していることを印象づけた形である。
住宅不況やサブプライム問題の拡大による信用不安に加え、エネルギーコストが上昇するなど、企業環境が悪化しており、製造業PMIは引き続き低迷しているものの、非製造業NMIは市場予想に反して50を上回ってきたことで、景気の悪化がそれほど深くはないとの観測を呼ぶ結果となっている。
なお、ISMでは5月6日に半年に一度の企業の購買担当者を対象とした業況見通し調査を発表したが、それによると、製造業では、2008年の売上高が前年比で1%増と12月調査(同6.8%増)から急低下、設備投資は同1%増(12月調査:同0.7%増)、設備稼働率は78.6%(12月調査:同82.9%)となった。
非製造業では、2008年の売上高が前年比で2.7%増と12月調査(同2.0%増)から上昇、設備投資は同2.7%減と12月調査(同6.3%減)から改善、設備稼働率は85.9%(12月調査:同86.4%)となった。概して、製造業では弱気の見方が急増する形となったが、非製造業では強気の見方が増加気味となるなど、対照的な結果となっている。

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