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消費税の引き上げによる世帯負担額の試算-2007年と2011年の負担額の比較-
2007年11月29日
(篠原 哲)
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本稿では、標準的な「夫婦と子供2人の4人世帯」における年間の消費税額を推計し、それに所得税・住民税・社会保険料の負担額も加えるかたちで、2007年における標準世帯の公的負担額を年収ごとに把握する。さらに、2011年までに予定されている社会保険料の引き上げに加え、消費税率が7%まで引き上げられた場合における世帯ベースの負担額も推計することで、今後の引き上げによる世帯ベースの影響度の把握を試みた。
試算の対象世帯における2011年と、2007年のそれぞれの負担額の比較では、年収500万円世帯では、厚生年金保険料率引き上げにより社会保険料負担は3.4万円の増加となるが、所得税と住民税は、社会保険料控除の拡大によりそれぞれ▲0.2万円、▲0.3万円の減少になる。また、税率2%の引き上げによる消費税の負担増加額は、およそ4.2万円になると推計される。これらを合計した公的負担の増加額は7.2万円になる。
同様に、年収1000万円の世帯では、所得税は▲1.3万円、住民税は▲0.5万円の減少となるのに対して、社会保険料負担は6.3万円の増加となる。消費税は7.3万円の負担増となり、公的負担の増加額は11.9万円である。
2007年と2011年における、公的負担率(所得税、住民税、社会保険料、消費税の対年収比率)を比較してみると、年収500万円の世帯では、2007年の18.6%から2011年には20.1%まで、約1.4ポイント上昇する。しかし、年収1000万円の世帯では、2007年の24.7%から25.9%まで、約1.2ポイントの上昇に留まり、年収が高くなるにつれて、負担率の上昇幅が小さくなっていく傾向が見られる。これは、今後、年金保険料の引き上げに加えて、消費税率の引き上げが実施されれば、低所得者層になるほど、相対的に負担の増加幅が大きくなる可能性を示唆するものだ。
消費税率の引き上げに向けては、このような逆進性を緩和するような配慮も求められてくる。
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