研究領域
経済
家計の貯蓄・消費・資産
国際比較で見る1世帯当たりの資産と負債-11カ国の世帯調査統計に基づいて-
2007年10月16日
(石川 達哉)
関連カテゴリ
経済調査レポート
家計の貯蓄・消費・資産
米国、オーストラリア、日本、カナダ、韓国、イタリア、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、スウェーデン、ニュージーランドの11カ国における1世帯当たりの平均正味資産残高は、448,200ドルの米国が最も大きく、平均所得に対する倍率は、総所得比7.97倍、可処分所得9.84倍のオーストラリアが最も高い。
社会保障給付が厚い北欧4カ国の平均正味資産は、米ドル換算額、所得比のいずれで見ても、低水準である。特に、社会保障給付が総所得に対して11カ国中最高の30.7%を占めるスウェーデンでは、正味資産の総所得比は最も低い1.06倍にとどまっている。対照的に、カナダの総所得に占める社会保障給付は10.0%だが、私的年金資産が正味資産の33.6%、金融資産の73.6%も占めている。
正味資産の中位値が利用可能な7カ国について比較すると、米ドル換算額と中位所得比のいずれも、最も高いのがオーストラリア、最も低いのがスウェーデンである。世帯間の資産格差の大きい米国は金額では5位、中位所得比では6位に後退する。
正味資産の内訳に関しては、全11カ国において、実物資産が金融資産を上回っている。また、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンでは負債が金融資産より大きく、総資産に対する割合も30%超と他の国の2倍を超えているほか、負債の可処分所得比もサブプライムローン問題で揺れる米国の1.40倍を上回っている。
日本以外の国では、90年代末から平均正味資産残高が年率換算3.0~8.5%で増加している。これには、実物資産が大きく寄与する一方、並行して負債も増えており、住宅価格上昇と借入れ条件緩和の影響が共通して見られる。今後、各国で住宅価格の下落が起これば、増大した負債が家計の支出を抑制することは免れない。
基礎研 Report Head Line
メルマガ配信中!
各種レポート配信をメールでお知らせ。
読み逃しを防ぎます!
最新トピック
について
会員向け無料Webセミナー
を定期的に開催中!
開催詳細をメールでご案内します!
あなたに役立つ情報をお知らせします!
今すぐメルマガ登録
石川 達哉
()
研究領域:
研究・専門分野
レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)
関連カテゴリ・レポート
経済調査レポート
家計の貯蓄・消費・資産