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「家族が縮む」少子高齢社会のすまい-「減築」のすすめ
2007年10月11日
(土堤内 昭雄)
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日本は人口減少社会に向かいつつあるが、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2003年10月)」によると、世帯数は2015年まで増加するとみられている。その理由は、世帯規模が縮小し続けるからだ。家族類型別世帯数は、「夫婦と子」世帯や三世代など「その他」世帯が大幅に減少し、「単独」世帯や「夫婦のみ」世帯が増加する。その結果、一般世帯の平均人員規模は、1960年の4.14人から2005年の2.55人に減少、2025年には2.37人になると推計されている。つまりこれからの少子高齢社会は「家族が縮む」時代なのだ。
一方、日本の住宅総数は世帯数とともに増加しており、今後も総人口が減少するものの住宅総数は増加するとみられる。2003年の住宅総数は5,389万戸だが、その中には空き家(別荘などの2次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅等)659万戸が含まれている。空き家率は12.2%で、その10年前に比べると212万戸(47.3%)増加しており、今後も空き家数は増え続けるだろう。
空き家が増加する背景には、現在の住宅ストックと世帯構造の間のミスマッチが考えられる。最初の住宅取得は家族が成長・拡大する時期が多いが、やがて子どもの独立などにより家族が縮小してもそのまま住み続ける人も多い。60~70年代の高度経済成長期に作られた大都市圏近郊のニュータウンなどでは、子どもが世帯分離し、高齢夫婦だけが住む一戸建て住宅が多くみられる。このようなミスマッチを解消するには、既存の住宅ストックを活用した「減築」が有効と思われる。
平成15年の総務省「住宅・土地統計調査」によると、「高齢単身」世帯および「高齢夫婦のみ」世帯の住宅室数は平均で4.36室と5.47室で、高齢者世帯はかなり部屋数の多い住宅に住んでいる。「減築」により2階建てを平屋にしてバリアフリー化を図ったり、余分なスペースを取り除いて住宅の維持管理の手間やコスト、時間を節約することができる。また、「減築」は必ずしも面積を小さくするだけではなく、部屋数を減らし一部屋を大きくすることや風呂、トイレ、廊下などに面積的なゆとりを持たせるなど、高齢期の身体機能やライフスタイルに合うようにリフォームすることも可能だ。
「減築」は特に高齢期のすまいとして重要だ。体型が変わりサイズが合わなくなった服は、体の寸法に合うようにリフォームすれば着心地が良くなる。すまいも同様で、「減築」により変化する世帯構成にフィットした住宅の快適さは容易に想像できるだろう。「家族が縮む」少子高齢社会においては、すまいも「拡大・成長」から「縮小・成熟」への発想が求められている。
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