年金通算制度の普及を望む

2006年10月01日

わが国でも、平成17年10月の年金制度改正により、企業年金間の資産移管による通算制度が可能となった。個人単位での転職者の権利義務関係を移転できる画期的な制度といえる。ちなみに、世界的にも、通算制度が法律で手当てされているのはオランダなど少数の国にとどまっているようである。
第一号はセコム企業年金基金であり、同基金は代行返上を含む一連の制度改革を繰り返し、最終的に、2005年4月からは、キャッシュバランス(CB)制度70%とDC制度30%の組み合わせとなった。
転職によりセコムに入社した人は、CBかDCのどちらかの制度を選択でき、移換元の加入期間と脱退一時金相当額を引き継ぐことができる。特に、加入期間の通算は「年金受給権」の早期獲得というメリットを享受でき、大きな意義があるという。
セコム基金の現在までの経験で最も大きな問題点は、受換可能な企業年金が少なすぎること、さらに、制度の周知徹底ができていないので事務手続きが円滑でないことのようである。雇用流動化が進む中で、高齢社会のインフラとして年金通算制度が順調に発展するためには関係者のより一層の努力が必要であるが、是非とも成功させたい制度である。

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