市場の二極化、実は階層化 -平均値では把握できないオフィスビル市場

2004年07月27日

(松村 徹)

■introduction

市場の二極化が指摘されて久しく、選別淘汰の過程に入ったといえる現在のオフィスビル市場を平均値だけで推し量ることは難しい。ただし、市場の実態は二極化というより、階層化していると理解する方がより適切ではないだろうか。つまり、立地や規模、建築・設備内容、賃料水準などが似通るグループが階層構造を形成している、という見方である。
実際、規模などの条件でセグメントされたグループ別に空室率をみると、平均値ではわからない個々グループ特有の動きが見えてくる(図表-1)。需要が高度化・多様化し、立地条件やフロア形状、空調設備や情報通信設備、セキュリティなどスペックの差がビルの稼動状況を左右するようになっていることから、セグメントして市場を見る必要性が高まっている。特に、人口減少・高齢化を背景に、今後、オフィスワーカー数縮小による需給バランスの緩和で、ビル間格差の拡大が予想されるだけに、市場をきめ細かく見ないと市況判断を誤る可能性すらある。

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