定率減税の縮減・廃止による家計への影響

2004年01月30日

(篠原 哲)

  1. 今回の税制改正による増税の規模自体は、差し引きで小幅なものとなった。しかし、一方では、2005・06年度において定率減税の縮減・廃止を検討することなども記されており、中長期的には本格的な増税路線へと踏み込むことが明確となっている。
  2. 定率減税の減税規模は年間で約3.3兆円に及び、決して小さい規模ではない。このため経済が停滞していれば、減税の縮減が消費の減少を引き起こし、更なる景気の悪化を招く可能性があることも考慮しておく必要がある。
  3. 定率減税は段階的に縮減される公算が大きく、最終的に廃止となるまでに、数年を要する可能性も考えられる。場合によっては、景気が悪化するなかにもかかわらず、家計に対して負担増を強いる事態となることも想定されよう。このため縮減・廃止の実施にあたっては、経済情勢や他の制度改正による家計負担の影響を十分に考慮することが必要である。2005・06年度の景気動向によっては、定率減税の縮減・廃止を先送りせざるを得ない可能性も否定できない。
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