逆利回り革命は続くのか

2003年06月01日

かつて、株価上昇期待を背景に利回り革命がおこって久しいが、最近の日本では、10年国債の利回りが0.6%、東証一部の株式配当利回りが1.4%と、逆利回り革命が定着した感がある。
もっとも米国では、『リスク・神々への反逆』(P.バーンスタイン著)によれば、1871年から1958年の80年余り、株式配当利回りが、債券利回りを平均でおよそ1.3%上回っていたとのことであり、その後40年余り、債券利回りが株式配当利回りを平均で3.5%超過している事実が異常とも解釈できる。この1959年以降の変化には、物価水準が上昇し続けるようになったという背景があるらしい。
他方、現在の日本では、大恐慌時に比べればマイルドといってもデフレが続いているため、逆利回り革命を説明できるかも知れない。ただ、今後も、逆利回り革命が続くかどうかは、デフレの継続性と企業収益の改善に大きく影響されるだろう。企業収益の改善が見込めない場合、株価上昇は期待できないので、リスクの高い(時価変動が大きな)株式の配当利回りが、リスクの低い債券利回りを上回るのは当然である。もっとも、デフレ下でも収益が伸びる企業の株価上昇が期待できる点には留意が必要であろう。

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