公的年金の運用(報告:臼杵政治委員)

2001年10月31日

(年金フォーラム事務局)

■見出し

1.世界銀行会議の概要
2.日本の公的年金制度
3.注目すべき報告
4.米国の企業年金のトレンド Employee Benefit Research Institute

■introduction

年金フォーラムでは、年金民営化を当面の主たるテーマに検討を進めておりましたが、第10回は、臼杵委員から、「公的年金の運用」に関する世界銀行の会議の様子についてご報告いただきました。以下は、臼杵委員の報告概要です。
・ 世界銀行では、主に2階として強制加入の積立方式(個人勘定または企業年金)を持つべきと主張している。ただ、個人勘定の積立方式を導入したチリやアルゼンチンなどでは、管理コストや規制された投資による利回り悪化が指摘される。
・ 日本の公的年金の積立金運用については、ガバナンスの観点からは、厚生労働大臣の権限がかなり強いので、それが効率的な資産運用の防げにならない仕組みが必要であろう。
・ 一方、個人が自分で株式市場に参加するにあたり、制度面の阻害要因があるならば、公的年金の運用を通じて、株式投資を行うことに経済的意味もあろう。
・ カナダでは、公的年金の運用をCPPIBが行っており、2017年までに3,000億カナダドル程度の資産を積み立て、株式市場に投資する予定である。従来はパッシブ100%であったが、法改正以降アクティブ運用やプライベート・エクイティへの投資を増やしつつある。
・ アイルランドでは、投資先はコマーシャルな資産に限定し、国債や公共債への投資を禁止している。また、マネジャーの選定にあたって、多くの外部コンサルタントを採用している。
・ 米国では、財政面の余裕がなくなってきたことなどから、個人型導入など公的年金改革は当面行われないようである。

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