あり方が問われる公的年金の積立金運用

2001年10月01日

国民年金・厚生年金の積立金を運用する年金資金運用基金の存続の是非が議論されている。旧年金福祉事業団の解散に伴い、4月から運営が始まったばかりであるが、政府の行政改革推進事務局は、同基金の運用について、「リスク運用を大幅に縮小するとともに、特殊法人の業務としては廃止」とし、代わって国が直接運用するという見直し案を提示した。
公的年金の積立金は約147兆円(2000年度末)にのぼる。基本ポートフォリオでは国内株式占率が12%なので、投資額は約18兆円、現在の東証一部時価総額の約6%に相当する。仮に、従来の計画に従って、国がこれほどの株を保有することになれば、株式市場への政治圧力の高まりなど問題も多いと思われる。
行革案の「リスク運用を大幅に縮小(債券中心の運用を行うとも推測できる)」では、期待リターンは今よりも低い水準となり、給付引下げあるいは保険料引上げが不可避となる。厚生労働省も反発を強めており、成り行きが注目されるが、廃止か存続かという議論にとどまらず、公的年金制度全体の将来像を明らかにした上で、積立金運用のあり方を考える必要があろう。

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