確定拠出年金と株式市場

2001年03月01日

株式市場への梃子入れ策として、確定拠出型年金の早期導入への期待が高まっている。しかし、確定拠出型が導入されても、資産配分を決める各個人のスタンスは、1300兆円の個人貯蓄と変わらず、株式シェアは1割程度だろう。一方、確定給付型では株式シェアが3割を超えている。そのため、確定給付型から確定拠出型に移行すると、株式の需給はむしろ緩和する。米国401kプランでも、導入当初はリスク資産への配分が低かった。
確定拠出型年金が株価にプラスになる筋書きは二つある。第一に、その導入を契機として従来の雇用慣行が変わり、成長分野に優秀な人材が流れやすくなることである。ただ、それには労働政策を雇用維持型から転職促進型に転換しなくてはならない。
第二に、従業員への投資教育によって、リスクへの理解が深まり、年金以外の部分でも株式投資の割合が高まることである。
いずれにせよ、漢方薬の体質改善効果である。それをカンフル剤にするには、たとえば、確定拠出型で株式譲渡損失分だけ、次年度の非課税拠出枠を拡大するなど、リスクを取りやすくする工夫が求められる。

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