景気論議:実感に乏しい景気回復の原因

2000年08月11日

(日本大学経済学部教授 小巻 泰之)

<今週の焦点:実感に乏しい景気回復の原因>

  1. 景気は好調さを維持しているものの、「回復の広がり」が重要なポイントとなっている。
  2. IT 関連を除けば、多くの企業では過剰雇用・設備に悩む状況は変わらず、逆に不況感を強める業種もある。過去は回復期入りとともに多くの企業がほとんど同時に、業績が改善するなど全天候型の回復であった。しかし、今回は「勝ち組負け組」がはっきりとした回復であり、全ての業種が回復軌道にない。回復から取り残された業種の方が多いのである。
  3. 全業種にわたって回復を模索する政策が正しいのか、IT等の好調業種をより促進させる政策をとるべきなのか、財政・金融政策で明示すべき視点といえよう。

<足もとの景気~最新の基礎研インデックスより(P5参照)>

  • 7月のフラッシュは0.3%増加。4-6月期も0.8%増とプラス成長を維持へ。
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