悪化する地方財政

2000年05月01日

(櫨(はじ) 浩一)

■intrduction

悪化する財政
政府の試算によれば今年度末の政府債務残高は国・地方を合わせて650兆円にものぼり、名目GDP比も130%に達する見込みである。2000年度の国と地方を合わせた財政赤字(貯蓄投資バランス)は、名目GDPの9.4%にものぼると見込まれている。80年代の財政再建の努力の結果、一時は特例公債からの脱却を成し遂げた国の財政も、バブル崩壊後の景気後退による税収の落ち込みと景気対策のための減税や歳出の増加によって悪化が著しい。地方公共団体の財政状況の悪化も顕著である。米国では1980年代に双子の赤字といわれたように、財政赤字と経常収支の赤字に悩んだが、この時代でも大幅な赤字を記録していたのは連邦政府で、州や市などの地方政府の財政は黒字を計上することも多く総じて健全だった。これに対して日本の場合には、地方の財政赤字も国と連動する形で大きくなっていることが特徴的である。都道府県や市町村などの地方自治体の赤字は第一次石油危機後の1970年代後半には名目GDP比で2%程度の赤字だったが、国の財政赤字削減が本格化した1980年代に入る以前にかなりの縮小をみせた。今回の財政悪化では地方の赤字は95年度にGDPの2.7%に達し、98年度も2%という高い水準となっている。

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