企業合併が業績と株価に与える影響

2000年01月01日

(小本 恵照)

■要旨

(1)80年代中頃以降、企業合併が増加している。合併の中身では、「混合型」が減少し「水平型」が増加している。業種的には、銀行、セメント、紙パルプ、化学など特定の業種に集中している。
(2)企業合併が増加してきたのは、経済全体の規制緩和が進む中で企業間競争が激化したこと、規模の経済性の重要性が増したこと、合併規制が緩和されたことが指摘できる。
(3)合併経験企業と非合併経験企業の財務諸表を比較すると、両者に目立った違いは見られず、合併による企業業績向上は確認されない。
(4)合併による株価の影響については、合併企業では、銀行、セメント、海運では株価の10%の上昇がみられるのに対し、化学と紙パルプでは逆に10%の下落となっている。非合併企業の株価については、銀行と海運ではそれぞれ上昇と下落がみられるのに対し、残りの業界については、株価の変動はほとんどみられないという結果となっている。

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