代行返上は正しい選択か?

1999年11月01日

先般公表された日本公認会計士協会の「退職給付会計に関する実務指針」(中間報告)では、紆余曲折の末、「代行給付の除外」規定が削除されることになった。
これは、企業が代行の負担を覚悟したというよりも、むしろ代行を返上しようというのが本音のようである。代行制度は、厚生年金基金の中核をなす仕組みなので、「代行なし基金」を認めることは、大きな自己矛盾である。
厚生省の指摘は、「利差益があるときには基金、なくなれば適年では、いいとこどりではないか」ということだ。しかし、仮に基金が次々と代行資産を返上して、挙句の果てに、厚生年金本体が民営化されでもしたら、それまで一体、何をしてきたのか理解に苦しむことになるだろう。
この際、厚生年金と企業年金(確定拠出型も含めた)の関係を整理、改革する好機と捉え、21世紀に向けてベストの退職給付体系を構築するため、大いに議論すべきである。

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