規制緩和で変動する大衆薬の小売市場

1999年10月01日

(高橋 敏信)

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医療制度改革が大衆薬流通の環境変化を加速
人口の高齢化にともなう医療保険財政逼迫のなかで、薬の過剰投与や薬価差益問題が深刻になっており、厚生省は医療費の3割弱を占める薬剤費を圧縮するため、(1)薬価引き下げと薬価基準制度の見直し、(2)医薬分業の推進(調剤薬局経由は約3割・1兆円程度、他はすべて病院薬局経由)、(3)セルフメディケーション(自己治療)の推進 の方針を打ち出している。
さらに米国からの医薬品業界への市場参入圧力も加わって、90年代に入ると大衆薬流通の規制緩和が相次いで実施されている。特に93~95年までに実施された再販制度撤廃の影響は大きく、それまで薬局薬店の主要な収入源であったドリンク剤の安売り競争が激化して、中小の薬局薬店の収益力が急速に悪化した。
このような流れのなかで、さらに99年4月から、健胃清涼剤や栄養ドリンク剤など比較的安全性の高い15品目の医薬品を医薬部外品へ移行する"カテゴリー変更"が実施され(新指定医薬部外品)、薬局薬店だけでなく、コンビニなどの一般小売店でも自由に売れるようになった。
この規制緩和で、これまで医薬品が扱えなかった食系卸や雑系卸(雑貨を扱う卸)、大型スーパーの医薬品流通への進出が本格的に始まった。(これは「大衆薬ビックバン」と呼ばれている)

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