内外価格差は内々格差?

1999年08月01日

(石川 達哉)

■intrduction

高い日本の物価:内外価格差は1.35倍
我々が生活の豊かさを実感できない一因は、日本の物価水準の高さにもあると考えられる。OECDの統計によると、市場為替レートで換算した日本人の所得(1人当たりGDP)は3.3万ドルと世界4位にランクされる。しかし、1.35倍ある内外価格差を調整すると、実態的な所得は2.4万ドルに後退する。先ごろ通産省から発表された内外価格の調査結果でも、産業界向け工業製品の価格は米国の1.01倍だが、家計向けの商品は1.38倍、サービスにいたっては2.32倍という。仮に為替レートが1ドル=120円だとすれば、米国で1ドルの工業製品が日本では121円、同じく米国で1ドルのサービスは278円の値がついていることになる。
なぜ、内外価格差は生じるのだろうか。その前に、内外価格差とは一体何なのだろうか。意外と知られていないが、以下に示すように、内外価格差(比)の公表値は市場為替レートに対する購買力平価の倍率として計算されている。
もともと、購買力平価とはその名のとおり、等量の財やサービスを購買することのできる貨幣価値を基準とした内外通貨の交換レートである。したがって、財やサービスの数だけ購買力平価が存在することになる。内外価格差問題のカギは、実は、ここにある。

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