外国人投資家の存在感が増した国内株式市場

1998年12月25日

(遅澤 秀一)

■introduction

95年から続いた円安トレンドは、ロシア金融危機やヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメントの破綻に端を発する国際金融市場の混乱によって一段落したようである。98年8月に147円台を示現後にドル安方向に振れ、10月にはヘッジファンドがポジションを手仕舞ったこともあって、ドルは急落した。
その過程で、東京株式市場では、ここ2年ほど「二極化」相場の主役を演じてきた国際優良株が急落した。国際優良株は外国人持株比率が高いことが知られているが、先般の株価下落時には「外人売り」が大きな注目を集めたのである。そこで、わが国の株式市場で存在感を増している外国人投資家の投資動向を調べてみる。
実は、外国人投資家が影響を強めてきたのは最近のことだけではない(図表-1)。バブル崩壊後の90年代に入り、保有・売買ともにウエイトを高めてきたのである。さらに過去を顧みるに、80年代前半にPER(株価/1株当たり利益)を投資尺度として持ち込み、電機株に注目したのは外国人投資家であった。一方、80年代後半の株価急騰局面では、外国人投資家は日本株投資を抑制した。合理的尺度で説明できない投資を避けたのであろう。このように外国人投資家は、時として、国内投資家と異なった投資行動をとるのである。

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)