ストック型からフロー型へ変容を図る普通倉庫業

1998年03月25日

(木村 達也)

■目次

1.低迷する普通倉庫業の収益
2.構造的な採算性の低下
3.ストック型からフロー型に

■introduction

倉庫業者が他人から物品を預かり保管する営業倉庫は、普通倉庫、10℃以下で保管することが適当な物品を保管する冷蔵倉庫、原木を保管する水面倉庫に区分される。普通倉庫は、農水産物、鉱工業原材料・製品、家財など様々な物品を保管し、その収益には物品の保管による保管収益と、入出庫による荷役収益がある。

普通倉庫業の収益(㎡当たり)をみると、80年代後半には好況のもと増収率が上昇し、89 年度には14%に達した(図表-1)。また経常損益面(同)でも80 年代後半は黒字で、増益率も上昇した(図表-2)。しかしバブル崩壊後の92 年度には減収に転じ、93 年度以降は赤字が続いている。

普通倉庫業の損益構造はもともと、荷役業務の赤字を保管業務の黒字で補うものであった。しかしバブル崩壊後は、保管単価の下落とそれ以前の積極的投資からの庫腹(保管能力)拡大による減価償却費の増大もあり、保管業務の黒字が大きく縮小した。また荷役業務も入出庫数量低迷からの収益伸び悩み、費用の圧縮停滞から損失が拡大したため、全体でも赤字となった。
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