株式持ち合いと安定保有の現状

1997年10月25日

(井上 英昭)

■目次

1. 株式持ち合いと安定保有に関する調査・ 分析の定期公表について
2. 株式持ち合いと安定保有の現状

■introduction

はじめに
日本の株式市場を最も特徴づける株式持ち合いと安定保有の構造については、従来から繰り返し指摘されてきた。最近の株式市場・株価を巡る外的環境の変化は、一段と株式市場での株式持ち合いと安定保有構造の解明を必要としていると考えられる
(1)バブル崩壊後、低迷が続く株式市場が金融機関の株式保有リスクを顕在化させ、体力の低下にともない株式持ち合い・安定保有を緩和させる圧力がかかっている。
(2)持ち合い構造の相互性で、銀行が安定保有を緩和させると、事業会社も金融機関株の保有を縮小させる可能性が大きい。
(3)株式持ち合いと安定保有により経営の安定化が確保されるなかで成功してきた日本の経済システムが、近年の日本企業での不祥事の続発などで、転換期を迎えているとの認識が強まっている。
(4)経済システムの不振、株式市場の低迷とともに、最近は高齢化社会に関心が高まり、年金資産運用(特に海外投資家)の立場から株式市場、株価形成への関与が強まってきている。
当研究所では、株式持ち合いついて、データ蓄積が10年分を超え、時系列での分析も可能となったことから、今後、定期的にデータ公表を行う予定である。

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