企業年金の受託者責任と企業年金基本法の課題

1997年08月25日

(土浪 修)

■目次

1.はじめに
2.厚生年金基金の運用規制の緩和と受託者責任
3.適格年金の運用規制の緩和と受託者責任
4. 企業年金基本法の課題
5. おわりに

■introduction

近年の厚生年金基金の資産運用規制の緩和にともない、基金の運用関係者の「受託者責任」の認識が高まってきた。基金の積立不足の顕在化を受けて、加入者の「受給権の保護」の必要性を説く議論も活発である。政府は「企業年金に関する包括的な基本法」の制定に向けた検討を開始した。受託者責任や受給権の保護は企業年金基本法の重要な課題である。本稿では、厚生年金基金制度と適格年金制度において、資産運用規制の緩和の中で受託者責任がどのように扱われてきたかを比較する。そして、企業年金基本法における各種の加入者保護策を検討するに際しては、それらの出発点となるべき退職年金の「受給権」を、退職一時金も視野に入れつつ、明確化しておく必要があることを述べたい。

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