海外依存度が高まる電子部品・デバイス

1997年08月25日

(高橋 敏信)

■目次

1. 電子部品・デバイスの輸入が急増
2. 輸入先は北米とアジアが中心
3. 電子部品・デバイスも空洞化の兆し

■introduction

電子部品 (抵抗器、 コンデンサなど) とデバイス (IC、 LSI など) の輸入が急増している。 96 年の輸入額は、 電子部品とデバイスを合わせて 2 兆 8,791 億円 (前年比 31%増) となり、 過去最高を記録した。 足下の状況をみても月次輸入額はハイペースで推移している。
このように部品・デバイスの輸入が増えているのは、 輸入額全体の4割を占める集積回路 (IC、 LSI) の輸入が 93 年以降急増しているためである。 96 年の集積回路の輸入額は 1兆 2,744 億円でこれも過去最高である。 87 年の輸入額が 1,627 億円程度であったことと比較すると、わずか 10 年で約8倍まで拡大したことになる。 集積回路の輸入が増えたのは、 電子機器の低価格化が進行するなかで、 安価な海外部品への需要が高まったためだが、 その背景には日系企業による海外生産がある。 日本の部品メーカーが本格的に海外生産を開始し、 供給力を増したことが輸入拡大の原動力となっている。 デバイスの海外生産移転は 90 年代に入ってからも続いており、 94 年からは中国でも合弁による IC 生産が開始されている。
また、 国内のパソコンブームも輸入増加の要因のひとつである。 パソコンの国内出荷台数は 94 年から急増して、 96 年には 840 万台を記録したが、 パソコンの心臓部で使われる MPU (マイクロプロセッサー) は大部分が米国から輸入され、 しかも単価が高いために輸入金額を大きく押し上げている。

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