米国企業年金市場におけるGIC(利率保証契約)の現状

1997年01月01日

(津田 真吾)

<要旨>

  1. 通常GICと呼ばれる利率保証契約は、1970年代より米国の生保会社によって開発・販売が行われてきた団体年金商品である。確定拠出型制度を中心に利用され、特に1981年に確定拠出型の一種である401(k)プランが導入された後、同プランの普及と共に急速に拡大を遂げてきた。最近は生保会社の団体年金商品の新契約高のうち、約7割をGICが占めている。因みに1992年のGIC残高は約1,700億ドルに達している。
  2. GICとは、契約者である基金が生保会社に対して資金の預託を行い、一定期間を経た後に元本および予め定めた保証利息を受け取る運用商品である。債券と異なり、簿価による評価が認められること、また国債等と比べて相対的に高い保証金利を提供すること等により、特に従業員拠出を伴う401(k)プランに支持された。同プランでは従業員本人が拠出金の投資対象を選択できるが、中でもGICを受け皿とした利率保証口座が投資オプションとして人気を博したのである。
  3. 90年代に入り、一部の生保会社がGIC運用の失敗により経営危機に陥り、それが既存のGICの信用低下、そして販売の停滞という事態につながった。しかしその後、各生保会社が運用資産ポートフォリオの見直し、ALMを駆使した適切な保証利率の設定および各種リスクへの対応、そして分離勘定・シンセティックGICといった新型商品の開発等に努めた結果、GICは依然として代表的な団体年金商品の地位を保ち続けている。
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