フランスと欧州通貨統合

1996年05月01日

(浜田 基裕)

■見出し

はじめに
1.欧州通貨統合
2.フランスの財政問題
3.通貨統合参加の可能性
おわりに

■introduction

1996年のフランスはミッテラン前大統領の死去(1月8日)で幕を開けた。1981年から14年間という長期にわたりフランス社会党出身の大統領として政権を担当したミッテランに対する歴史的評価は分かれるところであるが、ドイツとの協調路線を維持し、欧州におけるフランスの地位の維持・向上を図りながら欧州統合の推進に大きく貢献した点についてはフランス世論は一定の肯定的評価を下した感がある。
1996年は同時にフランスなど欧州通貨統合を目指す欧州連合(=EU)加盟諸国にとって参加基準の達成度の観察が正式に開始される重要な年でもある。しかし国内及び欧州全体の経済の鈍化が鮮明になる中、フランス国内外で欧州通貨統合に対する懐疑的、否定的な考えが政治家、企業トップのレベルでも注目を浴び、以前にも増して欧州通貨統合に暗い影を投げかけている。また、一般国民レベルでもフランス全土を長期間混乱させた昨年末の交通・公共機関ストの余韻が残っており、公約に反して減税・雇用政策よりも財政赤字削減政策を優先させる政府への不満は依然として根強い。
このレポートでは、数々の国内社会問題に加え、深刻な財政問題を抱えているフランスの欧州通貨統合への参加の可能性を財政問題に焦点をあてながら検討したい。

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