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最終段階を迎える市民活動支援立法-わが国非営利分野の発展に向けたその意義と課題-
1996年04月01日
(佐藤 光邦)
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<要旨>
昨年1月に発生した阪神淡路大震災におけるボランティアの活躍が契機となって、急遽、市民活動支援立法の検討が進められてきたが、今通常国会も後半に入り、立法化は最終段階を迎える見通しである。
支援立法は、市民活動団体に対する(1)法人格の簡易な取得、(2)税制優遇措置、を主な内容とする。
(1)法人格については、与野党案とも、資産要件を大幅に緩和して市民活動団体に対し広く法人格取得を認める内容となっているが、そのなかで新進党案は地域要件を設けている点が大きな特徴である。
(2)税制優遇措置については、2月末現在、与党案は現行公益法人税制に準拠した3段階方式と伝えられているのみで具体的内容が明らかにされていないが、野党・新進党からは新制度(指定公益目的法人)により個人の寄付金に関する所得控除を大幅に拡大する案が伝えられている。
今回の支援立法の制定は法が市民活動を支援することを明示した点において画期的な意義を有し一日も早い成立が望まれるが、その一方で、立法化を急ぐ余り、制度の根本に関わる課題については先送りされた感が強く次のような問題が残っており、今回の立法措置はわが国の非営利法人制度整備に向けた第一歩として理解認識すべきである。
(1)行政が市民活動法人を一般的に管理・監督する制度として構成されており、自主性や価値観の多様性といった市民活動の特長が十分に発揮されるための担保措置が不十分である。
(2)税制優遇措置に関する与党案として伝えられている3段階方式は、所得控除対象団体や所得控除対象額の拡大、税還付手続の簡素化など、個人寄付を広く薄く集めるための仕組みとしては改善すべき課題が多い。
(3)公益法人設立に関する許可主義や非営利・非公益目的団体に関する規定の欠如については全く手がつけられず、民法第34条改正を柱とする民間非営利法人制度全体にわたる法体系整備という課題は依然未解決のままである。
市民活動団体に対しては今回の支援立法を活用して組織運営の向上を図り、民間非営利分野の発展に向けた一層の努力を期待したい。そのために支援立法の内容や活用方法について情報提供が行われ、多くの市民活動団体に法人格や税制優遇措置が活用されることが望まれる。
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