スタイル分析が登場した日本の株式市場

1996年04月01日

(遅澤 秀一)

<要旨>

  1. 運用機関のパフォーマンスを公平かつ正確に評価するためには、運用スタイルを考慮する必要がある。米国では株式について、大型-小型とValue(割安)- Growth(成長)の2軸によって、4種類に分けるスタイル分類が定着している。
  2. 日本では従来バランス型運用が主流であったため、運用者が運用スタイルを意識したり、明示したりすることは少なかった。しかし、委託者が運用パフォーマンスの源泉について厳しく問う姿勢が強まってきたため、今後は、ディスクロージャーの徹底や、特化型運用機関の採用増加につれ、運用者は運用スタイルを明確に打出すことが迫られよう。
  3. 日本の株式市場では、長期的にはValue型投資が有効であった。また、業績の変化率も株式収益率に対して重要なファクターとなっている。したがって、「非ValueをGrowthと定義付ける」米国のスタイル・インデックスを、そのまま日本市場に当てはめるのは適当でない。
  4. 本来スタイル・インデックスは、運用者の運用スタイルを切り分けるための便宜的な手段のはずである。しかし日本では、特化型運用が未熟なため、運用スタイル論議がスタイル・インデックスに集中するという本末転倒に陥っている。特化型運用の進展とともに、論議が「投資哲学・戦略」を反映したものへと深化していくことが望まれる。
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