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日本経済の現状と今後の中長期的課題
1996年01月01日
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<要旨>
高齢化が進行するなか、人口構成が労働力率の低い階層にシフトしていくため、女性の社会進出が進んでも労働力人口の伸びは鈍化し、やがて減少に転ずる公算が高い。また、労働時間短縮は今後も続くものと考えられるため、「労働者数×労働時間」でみた労働投入量は緩やかに減少していく見込みである。
今後の日本の貯蓄率は、公的貯蓄率・私的貯蓄率ともに緩やかに低下する見込みである。貯蓄率が低下すれば、投資率も低下し、資本蓄積が鈍化する公算が高い。
供給サイドからみると、人口高齢化に伴う労働力人口のピークアウト、貯蓄率の低下・資本蓄積速度の鈍化によって潜在成長率は趨勢的に鈍化するが、90年代後半に急激に低下する状況にはない。しかし、日本経済はバブル後遺症からの脱却、円高への適応など構造的な調整を迫られており、これらが需要面での制約要因となって、中期的には低い成長率にとどまる公算が高い。
その調整過程ではスパイラル的に景気が悪化し、自律回復メカニズムが損なわれてしまうリスクも否定できない。求められる当面の対応は、民間部門においては途上にあるリストラを進めることであり、政府部門においてはデフレ圧力を緩和するための需要の下支えをすることである。
中長期的見地からは、自己責任原則のもと、規制緩和の推進によって民間部門の競争を促進し、経済効率を高めることが必要である。政府部門は民間部門が果たし得ない機能を機動的に発揮することが必要であり、特に社会的収益率が私的収益率を上回る分野における積極的な関与が望ましい。
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