ASEAN(東南アジア諸国連合)について

1995年08月01日

(チョン・カム・ホン)

■見出し

1.はじめに
2.ASEANの誕生と初期の数年間
3.経済協力
4.政治的側面
5.共同体としてのASEANの将来

■introduction

東南アジア各国の経済成長はめざましく、それゆえに幅広い関心を集めている。また、経済成長と密接な関係を持つ東南アジア地域の政治的状況や各国間の関係については、端的に言って、極めて安定していると当たり前のように思われているようである。しかし、実際のところ、東南アジア地域各国の間には様々な違いが歴然と存在しており、協調体制が歳率すると考えるよりは、むしろ猪疑心とライバル意識と敵対心に満ちた状況になると考える方が自然と言える。事実、隣国同士で戦争寸前にいたった頃からまだ三十年余りしか経っておらず、今日においても各国の間では対立が絶えない。そして、経済面においても、各国は域内貿易よりはむしろ域外各国との貿易に依存している。
このように、協調している方がかえって奇妙にみえるような状況にあるにせよ、東南アジア地域の6ヶ国は東南アジア諸国連合(ASEAN)を結成している。発足当初の数年間は、ASEANは大した意義を持たない組識であるかのように思われていた。しかし、今日では、ASEANは各国の平和的共存という基本的な目的のためだけの組織から発展し、東南アジア地域の経済成長の原動力となっている。このため、東南アジア地域のそれぞれの国や地域全体について、経済/政治の両面にわたりその将来を予測する際には、ASEANの分析が欠かせない。
以下、本論文においては、ASEANの成り立ちとその歴史を概観した後、経済/政治の両面からASEANおよび構成各国の現状を分析し、最後にASEANの将来についても若干の考察を加えたい。

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