オース卜ラリアの生命保険会社のアジア進出

1994年07月01日

(若林 宏)

■見出し

1.はじめに
2.生命保険各社のアジア進出の背景
3.各生命保険会社の具体的取組
4.最後に

■introduction

オーストラリアはヨーロッパをオリジンとしながら、その地理的な関係からアジアとの関係が深い。経済面から見ても、既にアジアへの輸出額が全体の50%以上を占めるまでになっており、更に拡大の方向にある。特に相手国別貿易収支で見ると、黒字となっているのは日本・韓国・シンガポール・香港・インドネシア・マレーシア等、ほとんどがアジア諸国で占められており、オーストラリアにとってアジアはまさに最重要地域であり、その比重は年々増してきている。また、新規永住移民の数も最近はアジア系が約半数を占めており、人の面からもアジアとの関わりは拡大している。1989年のフォーク前首相によるAAPECの提唱は、脱欧入亜がオーストラリ7にとって重要課題である事のひとつの証である。現在の労働党キーティング政権もオーストラリアをアジアの一員と位置づけ、アジアとの関係の強化・貿易の拡大を重要課題としている。昨年の日本・韓国・中国歴訪に続き、本年4月にもタイ・ベトナム・ラオスのインドシナ諸国を歴訪、この地域へのオーストラリア民間投資を更に加速する経済戦略を明らかにするとともに、人的・物的な交流を積極的に後押ししている。

オーストラリア最大の企業であるBHP(鉱業)、パシフィックダンロップ社等のメーカー、銀行各行等は以前からアジアに積極的に進出しており、本社業績に大きく貢献している。これらの企業に比較すると、生命保険会社のアジアへの進出は遅れた感が否めないが、大手を中心としてアジアへの進出はまさに夜明けを迎えている。

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