北欧経済の現状と展望

1994年02月01日

(藤井 徹)

■見出し

1.各国経済の現状
2.北欧の金融危機
3.EC加盟に向けての動き
4.今後の展望
むすび

■はじめに

デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの北欧四ヶ国は、最大のスウェーデンでさえ人口が860万人余りといずれも小国ながら、経済的(一人当たりGNP)には世界的にもトップクラスの水準を誇る先進国である。しかし、日本との関係はあまり深いとは言えず、一般の日本人にとっては四ヶ国を区別することすらなかなか難しい状況である。

各国民の長所をうまく言い表した言葉に「フィンランド人にデザインさせ、スウェーデン人に作らせ、ノルウェー人に運ばせ、デンマーク人に売らせろ。」というのがあるが、一口に北欧諸国と言っても当然各国毎に特徴があり、経済的にも異なる。例えば、フィンランドは人種的(元々アジア系民族)にも文化的にも他の三国とは異なり、また、地理的にも大国ソ連に隣接していた為他の三国以上にその影響を強く受けてきた。ノルウェー・スウェーデン・デンマークの三国はいずれもヴァイキングの血を引き、14世紀の「カルマル同盟」以降しばらくの間は同一の君主を頂く一つの国であった。現在でもこの三国は文化的にも近く、言語も若干の違いこそあれ、ほとんど同じと言ってもよい位である。しかし、北海油田に依存するノルウェー、自国内で戦闘機の製造ができる程高度な技術をもつスウェーデン、既にECの加盟国で酪農が中心のデンマークというように経済構造はそれぞれの国毎に全く異なっている。

本稿では、普段取り上げられる機会の少ないこれら北欧諸国の内、既にECの加盟国で国民の間でも北欧というよりECの一部との意識が強いデンマークを除くノルウェー・スウェーデン・フィンランド三国の経済状況をレポートしたい。

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