研究領域
環境保護林の必要性について -日本の森林と林業のあり方・2
1994年01月01日
(川北 英隆)
(俣野 文彦)
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<要旨>
戦後、日本の森林は木材生産のためにあると認識されてきた。このため、広葉樹などの天然林が大量に伐採され、代わりに杉や桧など針葉樹が植林された。日本の森林の標準的な姿が広葉樹の天然林から、針葉樹の人工林に変化したのである。
現在、日本の林業は木材価格安、人手不足から危機的な状況にある。せっかく植林した人工林の手入れさえ十分に行われていない。国有林野財政も赤字である。また、杉や桧という人工林に対する批判が高まっている。林野庁も森林の機能として、木材供給以外に、環境に対する貢献を強調するようになってきた。
白神山地と屋久島という世界遺産条約の登録地について、二酸化炭素の吸収・回定(光合成)機能に限定して、森林の機能を試算してみた。その結果、地域の経済活動に比べ十分貢献していることがわかった。
一方、将来の建築用木材の需給を予測してみると、戦後に大量に植林された人工林が成育してきたため、従来のように値林後50年前後ですべて伐採するという方式の踏襲では、供給過剰に陥る可能性が高い。
今後の日本の森林のあり方は、まず木材生産林と環境保護林を区別することにあろう。また木材生産林も長期に育林する割合を増加させ、森林の様相を天然林に近づけてくことが望ましい。一方、環境保護林については金銭的な手当を十分に考える必要がある。その中で、国有林野財政のあり方を再考することもありえよう。さらに、木材生産林、環境保護林とも、入手の確保を考えることが重要になろう。
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