東南アジア諸国が直面している経済・政治課題に関する一考察

1993年11月01日

(チョン・カム・ホン)

■見出し

1.経済的課題
2.政治的課題
3.課題克服に向けた取組み

■introduction

1870年以降120~130年の間、世界で最も裕福で工業化の進んだ先進諸国グループの構成は全く大きな変化をみせていない。多くの国々がこうしたグループの仲間入りを目指したが、ほとんど成功していない。ただ唯一日本だけが120年間の歳月の後、それを達成した。逆に2~3の国がこのグループから脱落していった。これは米国マサチューセッツ工科大学のレスター・スロー教授の見解である。

1980年代後半、東南アジア諸国の経済は、OECD諸国の2倍以上の驚異的な成長を達成した。他国の称賛を集めると同時に、この強烈な成長カは東南アジア諸国を先進工業国グループ入りへの野望にかりたてている。マレーシア、シンガポールがそうである。マレーシアは2020年までに先進工業国入りの目標をかかげた。一方シンガポールも15年以内にスイスの生活水準への到達を宣言した。若干遠慮がちながらも、インドネシアは2019年までに人口1人当りの国民所得を4倍にする計画を決めている。また、フィリピンも2000年までにNIES入りすることを目標としている。スロー教授の見解に基づけば、目標達成までの道程は決して平坦ではない。実際、これまでの発展過程を維持することだけでも大変困難なのである。

当レポートでは以下まず、東南アジア諸国が中期的に直面するであろう経済的及び政治的課題に関し最初に考察し、その後諸課題を果たして克服できるかどうかという点について分析してみたい。東南アジア諸国がこれからの課題を解決できたかどうかは5~10年先には明らかになっているであろう。

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