研究領域
株式は魅力的な投資対象か -株式市場の構造とその変化・2-
1993年11月01日
(川北 英隆)
(田宮 俊治)
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<要旨>
「株式は依然として魅力的な投資対象か」。現状を分析するかぎり、その答えは「否」に近かった。
株主の立場からみると、日本の上場企業の平均的な姿は幻滅すべきものである。株主が企業に委託している資金である株主資本は、十分な利益を生み出していない。
このような幻滅すべき状況をもたらした背景に、株式持ち合いや安定保有があることは否めない。物言わぬ株主が、企業経営者をして「株主資本のコストは"安い"」と思わせ、それが資本の無駄使いを促す結果となってしまった。
現在、株式持ち合いや安定保有の関係は緩もうとしているのか。その兆しは部分的にみられるが、将来について確たることはまだ言えない。しかし、「会社は誰のものか」(コーポレー卜・ガパナンス)という議論が盛んになっていることに象徴されるように、企業の幻滅すべき状況に対する株主の批判は次第に厳しさを増してきていると考えられる。
株主の批判は不安定な株価動向に端的に表現されている。現在の株価水準には依然として、株主の希望的観測が織り込まれているものと推量される。したがって、上場企業がそのような株主の希望的観測に応え、株主を意識した経営を行うことが、株式市場の機能を維持していくために不可欠であるう。
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