インフォワーカーの時代 -企業組織、人の情報化をめぐって-

1993年08月01日

(小豆川 裕子)

<要旨>

  1. 高度情報化」といわれて久しいが、昨今、アメリカではクリントン政権が「情報スーパーハイウエイ政策」を大きく掲げ、日本においては、「新総合経済対策」の中で、「情報」を核とした新社会資本整備を推進させつつあり、新たな近未来を予見させる大きな動きとなっている。また、生活者側からみた最近の動きにおいては、低価格で気軽に、楽しく、そして高度な処理ができるハード・ソフトの環境が整いつつあり、やっと「ユーザー本位の時代」の到来を感じさせるようになったと言えよう。
  2. このような中で、企業内で働く人々は、今回、大部分が何らかの形で「情報」を取り扱う「インフォメーション・ワーカ一=インフォワーカー」であるといわれる。
    本稿では、「情報化」の洗礼をまずはじめに受ける企業組織における情報化とそこで働く人々(インフォワー)との関係に着目し、情報化の普及課題を様々な角度から眺め、これからの企業組織と人の情報化のあり方を考察するものである。
  3. 企業におけるニューメディア機器・サービスに対する活用及び意識の現状においては、男性30代が積極層である。業種別では、「運輸、通信」が、職種別では、「研究、開発職」「企画、調査、広告」が特にパソコンを中心とするキーボード系機器・サービスにおいて活用度が高くなっている。これに対して、「経営管理職」「役員」などは、ポケットベル、携帯電話、自動車電話など送信系のニューメディア機器・サービスに関して活用度が高いものの、総じてニューメディア機器・サービスに対して心理的抵抗感があり、活用度が低いという結果が得られた。
  4. 情報機器等コミュニケーション技術の普及が一定の「臨界量」に達して多くの人々が効用を感じ、それが定型化されるまでには過渡的に「情報プアマン」と「情報リッチマン」の格差が増大するという厳しい現実が存在する。このような個人間、そして組織間の格差増大をくい止め、企業が情報化メリットを最大限に享受していくためには、企業組織全体の枠組みを捉え直すなかで、個人個人の情報リテラシーを向上させる具体的方策の実践が、今後重要ポイン卜となろう。
レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート