米国のコーポレート・ガバナンスの現状 -株主として企業経営に影響を与える公的年金

1993年07月01日

(上田 晶平)

(久米 保則)

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■見出し

1.GMの経営者交代劇-背後に公的年金
2.株主としての公的年金
3.公的年金とコーポレート・ガバナンス
4.コーポレート・ガバナンスの今後

■はじめに

コーポレート・ガパナンスとは何か。これは「企業統治」という直訳が示すように、そもそも「企業は誰のものか」という命題である。中心となるのは、企業の経営者と資本提供者である株主との関係であり、それ自体は資本主義の歴史の中で古くから議論されてきたものである。何故この言葉がいま盛んに使われるのであろうか。

米国では、92年秋のGMステンペル会長辞任をはじめ、ウェスティングハウス、IBM、アメリカン・エクスプレスという、まさにアメリカを代表する大企業で次々にトップ経営者が退任に追い込まれたことが、大いに世間の耳目を集めた。そしていずれの場合にも、公的年金を中心とする株主の圧力がその背景にあったことが、改めてコーポレート・ガバナンスの問題に関心が強まるきっかけとなったのである。

一方日本では、株価の下落と企業収益の低下という厳しい現状に直面して、過去のエクイティ・ファイナンスの功罪や株主への利益還元のあり方が問われているところであり、こうした問題を議論する中でコーポレート・ガパナンスという言葉が用いられ始めている。

上田 晶平

久米 保則

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