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地球環境問題から見た経済発展とエネルギー消費
1993年06月01日
(石川 達哉)
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<要旨>
日本のエネルギー消費は経済成長とともに増加してきたが、第1次石油ショック前後を境に増加テンポは穏やかになっている。エネルギー消費の増加率を「1人当たり実質GDP」「人口」「エネルギー消費効率(エネルギー消費のGDP原単位)」の変化率に分解すると、70年代代半ば以降のエネルギー消費の伸び鈍化がエネルギー消費効率の改善によってもたらされていることがわかる。
日本のエネルギー消費効率の変化を産業面から捉えると、消費効率の改善の著しい産業部門のGDPウエイ卜が高まり、消費効率が悪化ないしほとんど改善していない産業のGDPウエイトが低下していることに呼応している。その結果、マクロ的な「エネルギー消費のGDP原単位」は先進国の中でも一、二を争う程低い水準となっている。
OECD24ヶ国のエネルギー消費効率の長期的推移を観察すると、所得水準の低いうちは、所得の増加とともに効率が悪化するが、ある程度の所得水準に達すると効率が改善するという共通の変化のパターンが存在する。
その転換点は、1人当たり実質GDP7千ドル程度であることが計量分析から示唆される。
エネルギー消費効率に対するエネルギーの相対価格変化の影響度も所得水準によって異なり、1人当たり実質GDPが7千ドル程度に達するまでは影響力は相対的に小さい。従って、炭素税に代表されるエネルギー課税を世界各国共通の税率で実施した場合、途上国には所得分配の面から配慮が必要となるだけでなく、効果の点でも大きな期待はできない。税制の有効活用をはじめ、エネルギー消費に関しては先進国が一層改善すべき余地が残されている。
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石川 達哉
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