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広がる自治体の高齢者生きがい推進事業
1992年11月01日
(佐藤 光邦)
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<要旨>
人生80年時代を迎え、老後はもはや「余生」ではなく「人生における重要な期間」としての認識が高まり、厚生省の「高齢者の生きがいと健康づくり推進事業」により平成元年度から平成3年度にかけて合計431の市区町村で「モデル事業」が進められるなど、かつては「専ら個人の問題」とされていた高齢者の"生きがい"は、いまや「行政の課題」として認識される時代になった。
自治体が高齢者生きがい推進事業を進めていくに当たっては地域の高齢者の生きがいに関する意識・ニーズを把握することが出発点であるとともに重要な課題となる。とりわけ都市部の自治体においては高齢者個々の状況把握がほとんど不可能であると同時に、住民の属性や意識も多様であることから、地域の高齢者の生きがいに関する意識・ニーズの客観的な把握が重要なポイントとなる。
"生きがい"は「内面性」「潜在性」「多面性」「発展性」といった基本的特質を有しており、調査に当たってはこうした特質を踏まえて行なう必要がある。
また、こうした調査の分析に当たっては、事業の対象となる高齢者をその意識やニーズに応じてセグメン卜することによりターゲットとなる高齢者層の特徴を明確にする手法が有効である。これによると、現在の生活に関する満足度が極端に高い人及び低い人は自治体の高齢者生きがい推進事業のターゲッ卜としてはあまり有望でなく、満足度が中程度でしかも生きがい活動に対する意識がむしろ積極的でない状況の人が有望なターゲッ卜となるものと考えられる。
高齢者の生きがい推進事業については、全国で画一的に事業を実施するよりも、各地域の特性を生かし高齢者ニーズを汲み取った自治代独自の企画が望まれるところであり、これまでの行政とは異なる取り組みスタンスが求められる。
「ハイカラ学校(長野県飯田市)」「健康づくりミニ巡礼(香川県善通寺市)」などユニークな事業例もいくつかの自治体で見られており、今後各自治体が競い合って高齢者の生きがい推進に向けて一層創意工夫を凝らした取り組みを行なっていくことが期待される。
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佐藤 光邦
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