最近の消費者ローン市場動向

1992年09月01日

(増田 政紀)

<要旨>

  1. 消費者ローン市場が成長している。80年代初めに6~7兆円であったローン残高は、86年以降のバブル形成期に急増し、90年末には34兆円と国民総生産の8%を占めるまでになっている。
  2. 70年代後半以降、消費者ローン市場には銀行や消費者金融会社のみならず信販、流通系ノンバンクなども参入して規模が拡大していったが、中でも都市銀行のシェア拡大が著しい。
    都市銀行が消費者ローンを拡大した銀行側の背景には以下のことが挙げられる。
      (1)大企業の銀行離れによる個人マーケットの見直し
      (2)手軽に利用できるカードローンなど小口商品の開発
      (3)バブル期の資産価格上昇にあわせた有担保フリーローンなど大型商品の開発
      (4)コンピューターの高度化による消費者ローン事務負荷の軽減
      (5)CD、ATMの普及による消費者の利便性向上
  3. だが、バブル期に急成長した消費者ローン市場もバブル崩壊とともに個人破産者の急増という問題に直面している。最近の特徴としては株、不動産取引に失敗した個人投資家のほか、クレジットを利用した物品購入に伴う債務額が膨れ上がった若者層を中心とした破産増加がある。個人破産は現行法制下では実質的なペナルティはあまりないこともあって92年は4万人近くに達するものと思われる。
  4. こうした個人破産の増加はローンの供給側では不良債権となって収益圧迫要因となる。個人破産者数と平均債務額から試算すると、92年度は約1,400億円程度の貸倒れが発生することになり、今後の破産の増加によって更に膨らむ可能性もある。
  5. 今後の消費者ローン市場について展望すると、以下のようなことが考えられる。
      (1)供給者側からは個人破産者の増加からここ2~3年は消費者ローン市場の見直しが続く
      (2)消費者側でも株価、地価の低迷が続いていることからかつてのような大型フリーローンや不動産、有価証券購入ローン等も利用しにくくなってきている
      (3)破産に至らないまでも債務額が膨らんでいる利用者は、当面はローン返済に追われるため新規借入需要は弱い
      (4)わが国の国民一人当たりの可処分所得に対する消費者信用残高は90年に米国を上回り、消費者信用全体が米国並みに成長してきでいる
    以上のことから消費者ローン市場はここ2~3年くらいは残高ベースで年率3%前後の低い伸びで推移し、95年末で43兆円程度の規模となろう。
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