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生保サービスを通じて見た「顧客満足」
1992年06月01日
(栗林 敦子)
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<要旨>
回顧客の満足(Customer Satisfaction)の向上を企業の最終目標とする「CS経営」が脚光を浴びている。この「CS経営」を導入している企業は、「顧客志向型経営への転換」と「科学的サービスマネージメントの導入」の双方を目的としている。そのような企業の意向を受け「顧客満足度の測定」を目的とした調査が盛んである。
生命保険への「顧客満足」は、概して低いレベルにあるといわれているが、当社の調査では、会社間での満足レベルに大きな差がないこと、顧客のライフステージ、直近の加入時期などにより満足レベルに違いがあることなどが明らかになった。
生命保険会社のイメージと「顧客満足」の関係では、満足のレベルが高い人の方が各イメージ評価項目全般に肯定的な回答をしているなど因果関係が認められ、中でも満足・不満を左右するのが「お客を大切にしている」という会社イメージであることがわかった。また、満足レベルの高い人ほど主契約の生命保険会社に対するロイヤリティは高く、再加入の意向や他者に推奨する意向が強いことも明らかになっている。
生命保険に対する顧客満足はどのようなサービスに影響されているかをみると、加入時、加入後の分類では加入後のサービスが、人的対応、情報、商品の分類では人的対応サービスの影響が大きく、また、会社から直接のサービスか営業職員を通じてのサービスかでは、同程度の影響となっている。
サービスの内容ごとに満足の状況をみると、満足・不満を明確に判定できるサービスと「わからない」が多くを占めるサービスとがあり、満足度を高めたり不満を解消したりするとともに、サービスについての認知を促す努力も必要であることが分かった。
顧客の利便性向上を目指す金融自由化は今後本番を迎えようとしているが、激化するであろう金融機関の競争を、顧客の満足の方向を見失うことのない、意味あるサービス品質の向上の競争とするためにも、このような調査や他のコミュニケーションを重視するなど、CSの思想を経営の根幹に位置づけていく必要があろう。
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栗林 敦子
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